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  • 30代の声を行政に届けたい 新進気鋭の千葉県議会議員

ミッションは住民の安心な生活、豊かさを感じられる環境の提供

Q:初めに、県議会議員としてのミッションについてお聞きします。

私がミッションとして掲げているのは、地域住民の皆さまが安心して生活できること。そして生活レベルが現状よりも改善され、豊かさを感じられるような環境を整えることです。その思いをつねに心に置いて、日々の業務に携わっております。学生時代にスポーツを行っていたこともあり、個人的に関心があるのは「健康寿命」をいかに伸ばすことができるかというポイント。地域の方々に身体を動かす機会を提供し、それを政策に結び付けられないかと思案しております。「健康寿命」の課題に取り組むには、運動だけではなく医療識者の参画や経済的な観点からの議論も必要。関係各位と連携を図りながら、地域に貢献すべく政策につなげたいと思っています。

Q:千葉県が行っている取り組みのなかで、注目していることを教えてください。

私が注目しているのは、成田国際空港の活性化に向けた取り組みです。現在の滑走路数は2本。今後1本の滑走路の延伸および拡幅が整備されますし、3本目の滑走路建設に向けた工事も着工。それが実現されることにより、旅客数、物流量の増加が見込まれます。経済発展の著しいアジア諸国の経済商機を成田空港に取り込むべく、国家戦略特区として国内外の企業誘致を目指し、空港周辺の建造物などをはじめとする規制も緩和されてまいりました。成田空港の機能強化にともない、空港を含めその周辺地域のポテンシャルを活かしきるまちづくりにチャレンジしていきたいです。また国際空港ならではの「海外の視線を受けやすい」という点を活用したメディア戦略を講じ、今後は効果的な広報活動の検討を行う必要があると考えています。

Q:現在、注力していることは何ですか。

「金属スクラップヤード」という言葉を聞いたことはありますか。「金属スクラップヤード」とは、金属やプラスチックなどが混在した廃棄物を保管する施設のこと。千葉県には300箇所以上の金属スクラップヤードがあり、これまでもトラックによる運搬時の騒音、振動に対するクレームや火災リスクなどの理由から、住民の安全や環境への影響が問題視されていました。金属スクラップは再生資源であるため、廃棄物処理法による規制は適用できません。「金属スクラップヤード」建設を規制するには、新たな条例の策定が必要でした。2021年、千葉市は「金属スクラップヤード」新規建設に際し「許可制」を定めた条例を施行。千葉市にならう形で2023年9月、千葉県でも許可制が成立。2024年4月からの施行へと前進しました。先行した千葉市では一部の効果は認められるものの、課題があるのも事実。現在は千葉市の課題を参考にしつつ、千葉県における条例の効果を定量的に測定することに注力しております。

Q:他にも注力していることはありますか。

2023年12月に制定された「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」の普及に向けた活動にも注力しております。この条例の主旨は個々人の違いが尊重され、誰もが何の分け隔てもなく平等に参加し、活躍できる社会づくりを目指すこと。私の地元である千葉市の若葉区には、高齢者や外国籍の住民が少なくありません。そうした方々が安心して生活できること。これだけに留まらず、活躍できる場を創造したいと思っています。その場に求められることは、2つ。第一に挙げられるのは、社会活動への参画に躊躇しがちな人であっても、「参加したい」と感じられる環境であること、二つ目は受け入れる側が、そうした方々を快く迎える準備が整っていることだと考えます。身近な地域の改善から始まり、その活動範囲を拡大していく所存でございます。

20代、30代の価値観、ものの考え方を行政に届けることが重要

Q:学生時代から議員になるまでの経緯についてお訊ねします。

学生時代はテニスに没頭しており、将来的にはその道のプロを目指すことも選択肢の一つとして視野に入れていました。県立千城台高校卒業後は大学に進学せず、テニスの道に進むべく研鑽を積んでいたのですが自分の力量に限界を感じることに。もともと興味のあった役者の道を目指して、役者養成校に通学。役者の卵として舞台に立ち、松方弘樹氏や若林豪氏と共演するも、生計を立てるところまでには至らずテニスコーチをやりながらの役者生活でした。当時は、熊谷千葉県知事が千葉市長を務めていらっしゃった時期。あるきっかけで市長のボランティア活動に参画し、そのご縁から政治との接点が芽生え現在に至ります。

Q:なぜ、市議会議員から県議会議員にチャレンジしたのでしょうか。

市議会議員に当選したのは、27歳のときでした。先述のとおり、当時の熊谷市長のお手伝いをきっかけに、少しずつ政治に関わらせていただくようになりました。2019年の市議会議員選挙にあたり先輩議員が引退することになり、新人当選枠が空くことに。千葉市の将来を考えた時、20代、30代の価値観、ものの考え方を市議会、行政に届けることは大切なのではないかと考え、出馬を決意しました。4300名を超える方が私に投票して下さったということから、これからの未来を背負う世代の声も政治には求められていることを実感。

4年間市議会議員として活動するなかで、大きな気づきが得られました。時間、人、お金など、必要ま資源は限られています。それらをいかに効率的に利用して成果につなげるか、それを重視する必要があると感じました。千葉市単独で動くよりも周辺の自治体との連携を深めることによって、効率的に望む結果に近づくことができると考えるように。「千葉県議会議員」という役割が、広域連携を推進する一つの選択肢になり得ると考え県議会議員にチャレンジしました。

Q:活動の一例を教えてください。

私は、高齢者が多く住む千葉市若葉区の選出。同地域の公共交通機関の課題に対する思いは、特に強いですね。先日、私の携帯電話が鳴ったので電話口に出ると、60代の住民の方からの電話でした。お話をお伺いすると、ご自身は再就職して日中は不在。80代後半の親御さんを病院へ連れて行きたいけれども、病院へ出向く交通手段がないので困っているというご相談でした。このような高齢者の不安や悩みを、直接お受けすることも少なくありません。地域住民の皆さまにとって「相談しやすいコミュニティやNPO」が、いくつか存在しているようにお見受けします。私はそのような場を積極的に支援させていただくことで、住民不安の軽減につなげたいと考えています。とはいうものの、支援メンバーが圧倒的に不足していることは否めません。地域の方々とコミュニケーションを重ね、サポート団体を増やすための方策を検討しながら、直面する課題解決に向けて日々精進しております。

Q:県民とコミュニケーションをとる際、何を心がけていますか。

若葉区は千葉市の北東側にあり、市内6 区 のうち一番面積が広い地域です。東部は、畑地や林地などが広がり農業が盛んな地域。一方西部には、大規模な住宅団地などが整備されています。自治会の集会に参加して陳情をお伺いすると、同じ若葉区と言っても東部地域と西部では抱える問題が全く異なることに気づかされるとともに、つねに大きな学びが得られます。議員だからと言って垣根を感じるのではなく、フラットな立ち位置で率直な申し入れを行ってもらえるよう自分の言動には配慮しています。またこれまで政治に対してあまり興味がなかった、政治家と接するのは気が引けると思っていた方達に、「自分の意見や一票が市政にインパクトを与える」ということを知らせていきたいです。住民の皆さまへの政治参画を促すために、わかりやすく説明することにも意識を払っています。

県民と行政の架け橋として、中長期的なビジョンをもって研鑽

Q:将来、どのような政治家になりたいですか。

私が目標とする政治家は、熊谷千葉県知事です。千葉県内で稼働中の事業領域は広範にわたり、その件数はとても大きな数字です。県知事はその一つひとつの内容を把握しているだけでなく、それぞれの事業に対して明確なビジョンをもっていることにただただ驚くばかり。事前連絡なしにある事業に関わる質問を投げかけたとしても、十分に納得できる回答を戻してくださいます。つねに、学びを継続されているからなのでしょう。毅然とした立ち居振る舞いをされるリーダーでありつつも、県民と接する際は同じ目線で言葉を交わして下さる姿にも魅了されます。政治家となった現在、あらためて大学に進学して政策や経済について専門的に学び、そこで得られた知見や経験を、行政や政治の道に生かしていきたいと考えるように。将来的には熊谷千葉県知事のような、威厳と人徳を兼ね備えた政治家を目指したいと思っています。

Q:今後、どのような役割を担っていきたいですか。

私が果たすべき役割は、県民と行政の架け橋になること。住民の要望が、建設的な将来につながると判断できる場合は全力でバックアップを行う所存です。実際の現場においてはその要望の現実性を考えた際に、潜在的なリスクや問題が認められるケースは少なからず生じます。そのような場合は、どこを落としどころにするべきか。その見極めが重要になります。自分自身の経験と知識だけでは、それを判断するのが難しいと感じることも。専門的な有識者の知見やお力を借りながら、バランスの取れた実現可能な着地点を見出せるよう尽力していきたいと思っています。

Q:国政について思うところはありますか。

わが国にとって「人口減少」は大きな課題であり、政治家は本気でそれと向き合い、具体的な政策を打ち出すことが重要です。また決議に至るまでのプロセスにおいて、「効率化」を意識することが必要であるように感じます。何かを議論する場合、「Aをやれば、Bが実現されます」というプラス面を謳った仮定を設定し、そこから議論をスタートするケースが多いのではないでしょうか。その後その仮定に対するリスクなどの検討、議論、精査を繰り返すという流れ。こうしたやり方では作業の手戻りが発生しますし、必要以上に多くの時間と労力が割かれます。今後はこうした従来の手法を見直し、効率性も加味していければと考えます。例えば、「何も手をつけなければ、いま使用中のAを利用できなくなります」という負の面から議論を開始。「解決方法の選択肢としてX、Y、Zの3つがあります。それぞれのメリット、デメリットはこれらです」という形で、最初からネガティブな面も明示することで効率化が図れるのではないかと考えます。決議にあたり、国民に意見を求めたり、コメントを募集したりする必要もあるでしょう。こうした部分のテコ入れに対しても積極的に関わっていきたいです。

また若手起業家が活躍できる環境作りにも貢献し、経済の活性化につなげたいと思っています。テクノロジーの進歩に伴い、ビジネスサイクルもスピーディーに変化。こうした時代の流れに柔軟に対応できるのが、若手の強みの一つです。行政はスタートアップに対する助成を行っていますので、若手経営者がチャレンジを持続できる社会を目指したいですね。さらに従来の広報手法に固執することなく、SNSやYouTubeなどの取り込みも必要だと思っています。

Q:学校教育にも関心があると聞きました。

高校の1年間、アメリカに留学した経験があります。1週間の学習スケジュールは、必須科目のほかに興味のあるプログラムを自分自身で選択。それを職員と相談して確定するという流れでした。自分で物を考えて、それを組み立てる。自分が学びたいと思ったことを、深掘りする。授業中に自分の意思を明確に伝達することなどの重要性を、アメリカで学びました。この経験があるからでしょうか。創造性を育む教育機会の提供にも関心があります。

現在、「校則と児童生徒指導を考える地方議員連盟」の事務局長を務めています。この活動の目的は、これまで当たり前だと思っていた「校則」について、いま一度考える機会をつくること。例えば「授業中に使用する筆記具は鉛筆」という校則があった場合、「その理由は何か」という疑問からはじまり、鉛筆以外の筆記具を使用した場合の不都合な事例を取り上げたり、議論を重ねたりするなかで、結論や解決策を見いだす。自分で考え、意見交換を行い、結果を導き出すという、この「プロセス」自体が大切であると考えます。教育現場における校則遵守だけに注力するのではなく、今後の未来を担う学生が豊かな創造性を醸成できる教育の場を作っていくことが私の目標の一つ。こうした小さな取り組みから、教育のあり方を徐々に改善していきたいと思います。

Q:最後に、今後の抱負をお願いします。

さきほど教育に関する短期的な想いを、「校則」という切り口からお伝えしました。長期的な構想の一つとして考えているのは、義務教育の改革。いわゆる既存の評価制度とは異なる、新たな手法を義務教育に導入し学生が本来持っている潜在性、可能性にフォーカスした改善案を見つけるべく、日々模索しております。

今後は、何か事業を立ち上げたいと考えています。行政に参画させていただく現在の状況化において、「経営者」としての知識はもちろんのこと、そのポジションならではの特有の感覚や考え方を自分事として捉える必要性を感じる場面が増えてきました。今後はますますベテラン世代や経営者とコミュニケーションを図る機会が、増加することでしょう。そのような際に経営者としての経験値が活かせると思います。また所得のベースアップや雇用問題などに関する政策を提起する場合においても、経営者視点があることでプロポーザルの内容に深みが増しますし、選択肢の幅を広げることも可能に。数多くの構想を携えつつも千葉県議会議員として地に足をつけ、千葉県民の皆さまに納得いただける活動を、地道に粛々と継続していく所存でございます。

【Boss Talk事務局より】

本インタビューを通じて浮かび上がったのは、「若い世代の価値観を政策に反映させる」ことに真正面から取り組む、千葉県議会議員としての覚悟と行動力です。

スポーツ、役者、政治——異なる分野での経験を積み重ねてきた歩みは、政治という一見硬直したフィールドにおいても、柔軟で多角的な視点を育んできた証と言えるでしょう。特に、健康寿命や多様性、若者支援、教育改革といった未来志向のテーマに真正面から向き合う姿勢には、同世代からの共感だけでなく、次世代への希望も感じさせます。

また、地域住民との丁寧な対話を通じて、「県民と行政の架け橋になる」というご本人のミッションが、地に足のついた政策提言や実行へとつながっている点も印象的でした。問題を解決するための現実的な視点と、より良い未来を切り拓く情熱。その両輪が、まさに「新進気鋭」の名にふさわしい政治家像を形成しています。

Boss Talkでは、こうした志ある若きリーダーたちの声を、今後も発信してまいります。

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