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中卒ホストから社長へ。”失敗が好き”と語る、株式会社I•Wizard 河野さんの「仕事の美学」

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会社概要

会社名
株式会社I•Wizard
代表者名
代表取締役 河野 景
所在地
千葉県袖ケ浦市奈良輪336

株式会社I•Wizard(アイウィザード)代表取締役 河野さんは、中学卒業後にホストを経験し、携帯ショップ店員、NTT販売会社の責任者といった経験を経て、I•Wizardの社長に就任したユニークな経歴の持ち主。

現在はOA機器販売、飲食店、キッチンカー、霊柩運送など幅広い事業を展開しています。どうしてこのような多角化に至ったのでしょうか?

今回は、なぜ社長を目指したのか、多角化展開した理由、そして今後どのような会社を目指していきたいのかを取材しました。今までの人生を辿りながら、仕事への思いと美学も紐解きたいと思います。

中卒でホストへ。トップを目指した10代

─ 中卒ホストから、OA機器販売やキッチンカーの社長!? とご経歴を見たときに驚きました。どのような経緯で現在の社長業に至ったのでしょうか。

中学生のときに、ホストのNo.1争いが地上波で放送されていました。見た目だけじゃなくて、その裏側にある生きざまがすごく格好良くて、「あそこでNo.1を取りたい!」って思ったんです。

ホストは高校生の年齢からできるんですよ。だから、16歳になった時に歌舞伎町に行って、ホストを始めました。

─ すごい行動力ですね…!ホストとして働いてみて、いかがでしたか。トップは取れましたか?

どんなに頑張ってもNo.3にしかなれませんでした…。16歳〜19歳まで3年間続けましたが、自分の限界というものがわかりましたね。そこでキッパリとNo.1の夢は諦めました。

転職を考えたのは、夜の仕事をしていたせいか体を壊してしまったこともあります。だから、次は昼間の仕事を探しました。

いくつか仕事に応募したところ、携帯ショップの店員と新聞関係の仕事に受かったので、当時はなんとなくノリで、携帯ショップの店員として働くことを決めました。

ただ「どうせやるならトップになりたい」と思い、20代前半の若手で事業のトップになることを目指して働き、目標通り、携帯ショップのいち店員からマネージャーに昇進しました。

「お客様に寄り添いたい」昇進するも独立を決意

─ マネージャーになった後はどうされましたか

行ける所まで登り詰めてしまいましたし、ちょうどほかの仕事をしたいという思いもあったので、同じ通信機器関連で、OA機器販売を行う会社に転職しました。

そこでもやはりトップを目指して働き、一課長になりました。これ以上を目指すとなると支店長とか東日本総括とか、社長や専務を目指すことになります。

そのときに、このまま仕事を続けるのではなく、独立したほうが良いのではと思いました。

─ そう考えたきっかけがあったのでしょうか?

会社の、数字を重視する姿勢を疑問に思いました。例えば、「車に乗れたら良いという人にベンツを勧めるみたいな感じ」と言えばわかりやすいでしょうか。

僕は接客業が好きです。綺麗ごとかもしれませんが、お客様に寄り添った商売をしたいと考えています。だから、数字ばかり追う企業の姿勢を気持ち悪く感じました。

そこで独立をして、自分らしく、お客様に寄り添った事業を展開をしようと思いました。

かっこ悪いことはしたくない。河野さんの仕事の美学

─ お客様に寄り添った事業展開をするうえで意識していることはありますか?

自分の売りたいものと、お客様が求めていることの違いを明確にすることです。お客様の話をしっかり聞いて理解して、デメリットも伝えて、最適な提案を心がけています。

こういう接客の仕方は、起業をして、数字を追わなくなってから考えるようになりました。会う度にガツガツ営業をしてくるとか、数字ばかり追うとか、そういったことはしたくない。

営業なんて気にしないというスタンスで、相手から選んでもらえる人間になった方がかっこいいじゃないですか。これは僕の仕事に対する美学ですね。

かっこ悪いことはしたくない。かっこいい働き方がしたいんです。

“しくじり先生”になってもいい。事業を多角化する理由

─ 昔からトップになりたいという思いが一貫していますね。

めちゃくちゃ負けず嫌いなんです。ゼロか100かの考えで、やるならとことんやった方が面白い。それに、失敗したら誰かに話せば良いですよね。

─ 自分の失敗が、誰かの糧になれば良い?

そうです!

もちろん、成功するために100%努力します。けど、全て成功するとは限りません。そして、失敗して落ち込むだけじゃつまらない。なら、たくさん経験をして、失敗したらそれを話す“しくじり先生”になってもいいんじゃないの?って思いました。だから失敗は大歓迎です!

実は失敗つながりで、僕の会社は色々な事業を展開しています。例えば、飲食店の経営。これは元々個人事業主として飲食店経営で失敗してしまった人を拾って始めた事業なんです。

─ お店のInstagramを拝見しました。スパイスカレーがとても美味しそうなカフェですね!

「addition」という名前のカフェです。僕はもうほとんど関わっていないのですが、お店の子が運営を頑張っているみたいですね。

当時、「テナントがあるけど借りたい人はいますか?」という話があって。知り合いに飲食店経営に失敗してくすぶっていた人がいたので声をかけました。

一回失敗したから挑戦するのが怖いと言うので、「夢を追いかける気持ちがあるのなら、僕が経営をやるから、うちの社員としてうちの屋号でやってみる?」と言ったんです。

「好きなようにやっていい。その間に僕から経営の仕方を盗んで、自信がついたらそのまま独立しても良い」って。今は弊社の従業員として店舗の運営をしています。

─「経営はこっちがやるから、後は好きなように」ってかっこいいですね。

良い話ばかりではありませんよ(笑)。夢を後押しするだけじゃなくて悪役にもなります。

─ 悪役とは?

「こんなカレー店を作るのが夢なんだ」と思っていても、それは独りよがりかもしれません。なら僕はそれを指摘して、もっと現実的にやった方が良いと言います。

「やりたいようにやれ」とは言いますが、失敗が見えている場合は止めます。「夢だけでは食えない」と、現実的で、夢を追う本人にとっては嫌なやつにもなります。

そうしていろいろな人の背中を押して行った結果、現在は僕がメインでやっているOA機器販売という事業と、飲食店経営、あとキッチンカー事業を行うことになりました。

キッチンカーは去年(2023年)まで自社で行っていましたが、現在はフランチャイズ化して、元社員が経営しています。

若者の夢を応援する「こんな奴」になりたい

─ 悪役になってでも応援する…河野さんみたいな人が周囲にいてくれたら人生変わりそうだなと、話を聞いていて思いました。

僕自身、過去に経営者になろうか悩んでいたときに、なんでも相談できる「こんな奴」がいたら…と思っていました。だから、「こんな奴」になりたいんです。そして、これからは会社として、悩んでいる若者の背を押していきたいと思っています。

誰でも助けるのかと言われたらそうじゃない。しかし、手の届く範囲で困っている人がいたら、話を聞いて、助けられることであれば助けたいと思っています。

─ 一緒に働く人がうらやましいです。

お節介野郎ですよ(笑)。社長として考えたら非常に甘い人間です。

でも、夢を追って頑張っている人が成長していく姿を見るのは楽しいですね。去年弊社を退職して、フランチャイズとして働きはじめた子がいますが、会社という幹から新しい枝が伸びたような新鮮な気持ちでした。

誰かを手伝って、その子が大成してくれたら、僕の誇りになります。そうすれば僕も人生の幅が広がると思うんです。

─ 誰かの成功を応援するのではなく、自分がもっと成功したいという野望はありませんか?

今、僕にはたったひとつのゆるぎないものがありません。社員だったときに十分トップを目指す経験はしてきました。だから次は、誰かを応援することに力を入れたいです。

多分、自分だけの世界がつまらないんですよ。稼いで、生活が潤って、会社が大きくなっても、正直、人生としてはつまらない。僕は、誰かがいないと楽しめない人間なんです。

今までいろいろな経験をしてきて、失敗もたくさんしました。だから次は、次世代の若い子に「こんな社長がいるよ」って伝えたいですね。目標にしてほしいわけじゃなくて、「こんな奴がいるから大丈夫なんだ」って伝えたい。

不安があれば相談にのるよって。そして、チャレンジしたいんだったらI•Wizardの社長が後押ししてくれるかもって。

それに、誰かを応援することで僕自身が新しいことに挑戦できます。自分の引き出しも増えていくからwin-winだと思っています。

正直、メイン事業であるOA機器販売を永遠にやっていくのか?好きなのか?と聞かれたら答えられません。誰かの夢を応援して一緒にいろいろなことに挑戦していけば、もっと自分に合うものが見つかるかもしれない。そういった期待もあるんです。

【編集部より】

「中卒ホストから社長へ」という一風変わったキャリアに加え、“失敗を恐れず、むしろ歓迎する”という河野さんの姿勢は、まさに挑戦を楽しむ若き実業家そのもの。ホストや携帯ショップ店員、NTT販売会社の責任者など多彩な経験を経て培ったのは、「数字だけでなく人を大切にする」視点です。そこから生まれる事業の多角化は、失敗や困難をむしろ糧とし、自分だけでなく他者の夢まで応援しようとする河野さんの想いの表れでしょう。

「こんな奴がいるなら安心できる」――そう若者に思ってもらいたいという言葉には、河野さんの“仕事の美学”が詰まっています。自分だけの成功ではなく、周囲の人々の活躍を後押しすることで生まれる新たなストーリーこそが、河野さんにとっての喜びであり、“かっこいい”生き方なのだと感じました。

「いつでも挑戦を応援してくれる社長がいる」――そんな安心感を携えて、これからも多くの若者が河野さんのもとで翼を広げていくことでしょう。河野さんが築くI•Wizardの未来から目が離せません。

〈執筆=成田 千草/編集=Boss Talk運営〉

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